Zipper Cronicle

zipper01 ◆ HISTORY ジッパーの起源


今何気なく世界中の人が使っているジッパー、その起源はやはりアメリカにあります。


発明はズボラから生まれるとはよく言ったものです。その男は靴を履くたびヒモをいちいち結ぶのが面倒でジッパーを開発しました。男の名はホイットコム・ジャドソン(Whitcomb.L.Judson)。


開発当時はジッパーではなくファスナーと呼ばれていました、1900年ごろの話です。それが一般に普及しだしたころその開閉音が似ていること、また弾丸が飛ぶ音をZIPと言っていたので弾丸のように早く開閉できると言う意味をこめてジッパーという名で登録する会社が現れそれがヒットしたことでジッパーと呼ばれるようになったのです。


われわれになじみのあるビンテージクロージングでは'26年にLEE社のカウボーイパンツにジーンズとして最初に採用、'31年にはA-2フライトジャケットに採用され軍の厳しいMIL-SPECをクリアしたことでその耐久性・堅牢製を証明しました。また、軍用品に採用されたことで劇的に機構や精度・生産性が向上しジッパー自体が進歩したといった面もあるようです。これ以降一般的な衣類にもジッパーを使ったものが普及していきます。


日本の年配の方などでチャックと呼ぶ方がおられますがこれは日本独特の呼称でアメリカでは通用しません、どうも巾着印をトレードマークとする会社のファスナーがチャックと言う名称で売られていてその呼び名が普及したようです。


ちなみにライターで有名なZIPPO(ジッポー)は当初発明者がそのひびきが気に入りジッパーの名前で登録するつもりだったのですが既にZIPPERが登録されていたためやむなくZIPPOで登録したようです。


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American Manufacturers

zipperhookless ◆ アメリカの代表的メーカー


◇ TALON タロン

 いわずと知れたジッパーの生みの親「フックレスファスナー」社の現社名です。TALON社が黎明期に様々な機構において技術革新に寄与し、ジッパーを大きく発展させたことは疑う余地がありません。1920年代当時「TALON」はHOOKLESS FASTENER社の1ブランド名でしたが1936年!?に社名をTALON社に変更しています。


◇ CONMAR コンマー

 こちらも古くから軍物などでおなじみのメーカー。コの字留めが付いているような40年代くらいまでの古いジッパーではTALONに次いでCONMARが多いような気がします。


◇ CROWN クラウン

 スプリングジッパーやシェブロンジッパーで特に有名なブランドです。クラウンは引き手にしても務歯(エレメント)にしても独特な形・機構のものを多く生み出しています、戦前から存在しますが戦後のミリタリーウェアで多く見ることが出来ます。1964年に軍に納入したのを最後に表舞台から姿を消しています。国内ブランドで復刻されたことでもわかるようにその独自性からミリタリーマニア等にも人気があります。


◇ SCOVILL スコビル

 メーカー自体は古いが昔は社名の刻印をしていなかったのか、この刻印のジッパーが付いている衣類は比較的新しい物が多いです。70年代もの、特にミリタリーウェアでよく見つけることが出来ます。


◇ GRIPPER グリッパー

 メーカーではなくSCOVILL社の1ブランド名。戦後物になって多く見かけるようになります。しかし見かける時期は割りと短いようで年代特定にはいい判断材料になるブランドです。


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Japanese Manufacturers

zipperykk ◆ 日本の代表的メーカー


◇ YKK 吉田工業株式会社

 アメリカを代表するメーカーがTALONなら日本を代表するメーカーはYKKでしょう。’34年にサンエス商会として創業したのが始まりで終戦を迎えた’45年には社名を吉田工業株式会社に変更しています。いち早く製造ラインに自動化を導入し、数々の新技術を開発したことでシェアを伸ばし現在では世界を代表するジッパーメーカーとなりました。


◇ TTS 東京寺西商店

 ’35年から’53年まで存在したメーカー、スカジャンではYKKについでよく見かけるメーカーです。亜鉛合金製の物しか見たことが無く真ちゅう製は確認していません。


◇ ミツワ 津田商会

 ’32年から’53年まで3つの輪が重なった刻印のジッパーを作っていた津田商会。東京寺西商店同様にYKKのライン自動化による品質向上、低コスト化には勝てなかったのか’53年以降は自社生産を中止しYKKの代理店となっています。レプリカにも同じ刻印が使われているのでジッパーを頼りにスカジャンを購入する方は注意をする必要があります。


◇ SPEED 川源商店

 ’30年代から’53年まで存在。詳細は不明だが他のメーカーと同じく大阪で作られていたようです。刻印や形のバリエーションが豊富で材質も亜鉛合金製・真鍮製・真鍮にメッキが存在する。こちらもレプリカに使用された履歴があります。


◇ CHERRY 桜金属

 やはり同じく始まりは’30年代からで’55年まで存在したようです。こちらも大阪のメーカーだと言われていますが日本のメーカーはさくら金属に限らず資料が乏しく詳細は不明な点が多いです。


 他にもマイナーなものはいくつかありますがそれらが製造されたのはほぼ’55年以前と推察されますのでスカジャンなどでは良い年代判別の手助けとなるでしょう。


 ちなみにT.Y.Eの刻印が付いているのは東洋エンタープライズ、WHCはウエアハウス、TFHはザ・フラットヘッド、TRMはザ・リアルマッコイズのレプリカです。東洋は古い復刻にはTALONを使っていました。他にも上に書きましたがミツワやSPEEDを使っているところもありました。しかしこれもちょっと注意すれば見分けが付きます


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